習慣 2017/07/26

世界で一番蔓延している中毒

人生で起こる出来事には
コントロールできないことが沢山ある。
悪いことも起こる。
私達がコントロールできることと言えば、
そのような出来事にどのように反応するか、だけだ。

“The Magic of Conflict” の著者でもあり
合気道も専門家でもある
トム・クラムは、こう言っている。
自己防衛という意味での合気道においては、
もし誰かがあなたを殴ろうとしたら、
そのパンチをブロックするのではない。

殴りかかってくる相手の力を
あなたの力として使うのである。
パンチをブロックしようとすると、
あなたは自分の力や強さを使って
相手の力や強さに抵抗しようとすることになる。
これだと、Win-Lose の対立しかもたらさない。

合気道でのあなたの戦略は、
受容と軸の動きで脇に避けることだ。
自分を攻撃してくる相手のエネルギーを使い、
相手を投げたり中和する。

トムいわく、このテクニックは
中心を持つことを学ぶこと、
心身共にリラックスし、
かつ注意を怠らないことだ。

気づきが高まったこのような状態において
自分と繋がった状態においては、
技巧についてはもはや考えず
あなたはエネルギーのフローと一体化する。

トムが教える重要な概念のひとつが「センタリング」だ。
スキーでも人生においても、
全てがうまくいっている時は、人はうまくやれるものだ。
でも、こぶに当たったりすると、
そのこぶにフォーカスや注意を向けがちだ。
その結果、結局転んでしまう。

トムが教えているのは、こぶにあたったら、
自分をセンタリングするということ。
センタリングというのは、
あなたのエネルギーを一箇所に集めて
肉体的な中心にフォーカスするということだ。

例えば、あなたが誰かの脇に立っていて、
手をその人の胸に当てて押したとしたら、
その人を簡単に動かすことができる。

でも、もしその相手が
エネルギーをセンターにフォーカスしていて
さらに集中していたとしたら、
さっきと同じエネルギーでは
相手を動かすことはできない。
相手はしっかりと立ったままで
びくともしないだろう。

あなたがセンターを持っている時、
宇宙のエネルギーとつながっている。
逆境を「学ぶ機会」「成長する機会」と捉え、
人生で前に進んでいくことができる。

センターを持ったままなら、
何か出来事に遭遇したとしても、
前向きのままでいられる。
エネルギーと視線を前向きに持ち、
学びと目標に対してフォーカスできる。


もしセンターにいないと、
バランスをすぐに崩されてしまって、
大変な思いをする。
起こることすべてにネガティブに反応して、
逆境も個人に向けられたものだと思ってしまう。

私はリーダーシップのセミナーにおいて、
自分に対する自信をとても大事なものだとして教えている、
なぜなら、今日の経営者達は、
判事、批評家、評論家ではなく
コーチとして、カウンセラーとして、チアリーダーとして
もっと効果的になるべきだと思うからである、

しかし、自分自身について良い感情を持っていない人が
それらの新しい役割を担うのはほぼ不可能だと気づいた。
効果的なリーダーシップは、自分の内側から始まり、
そこから外に出てくるものなのだ。

結局、自分のことを本心から好きな人こそが、
他の人の自尊心を高めることができるのだ。

自尊心を高め、
自分自身についてもっと愛を感じるための
一番早く力強い方法は、
精神的な目覚めだ。

なぜ「目覚め」と呼ぶのだろうか?
それは、私達は全員、
生まれてから健忘症を発展させてきているからだ。
私達は自分がどこから来たか忘れてしまったのだ。

私達以上に力があり、知識があり、
愛があるものが存在するものなどないー。
こう信じてしまった時に、
自らトラブルを引き寄せてしまう。

世界で一番蔓延している中毒は、人間のエゴだ。
エゴ(EGO)とは
Edging God Out (神を押しのける)の頭文字だ。

私の書籍「We are the beloved」では、
人を助ける試みである
「HELP モデル」を教えている。

H = Humility(謙虚さ)
“The Power of Ethical Management”
(邦題:「企業倫理の力」)において、
ノーマン・ヴィンセント・ピールと私はこう書いた。
「謙虚な人々は、自分を見下さない。
自分はただ、小さい存在だと思うだけだ。」
つまり、自分自身に対して良い感情を持つことは健康だ。


でも、それに流されてはいけない。
謙虚さというは、あなたよりも力強く、愛に溢れ、
思いやりを持った人がいることを思い出すことだ。
あなた自身の脆さを知り、
より偉大な力に対してセンタリングすることで、
あなたはより良い人間になるだろう。

E = Excellence(卓越)
ほとんどの人は、卓越を、最高であることだと考えている、
他の人に勝って最高であることだ、と。
でも、ナンバーワンになれる人は1人しか存在しない。
卓越をこのように考えてしまうと、
人生を Win-Lose で考えてしまう。


ナンバーワンでなければ、自分は重要ではないのだ…と。
あなたを前に進めてくれる卓越というのは、
誰にでも手に入るものなのだ。
立ち上がって、あなたがなり得る限り
最高の自分になるプロセスこそが卓越なのだ。


つまり、結果を達成することと、
大切な人間関係のバランスをとることだ。

L = Listening(聴く)
私の尊敬する教師が、いつもこう言っていた。
「もし神が、我々に聴くよりももっと話してほしいと思っていたなら、
耳は1つ、口を2つ与えただろう。」

私達が自分の自分の邪魔をしてしまう1つの理由は、
自分を黙らせてセンタリングする時間を取らないからだ。
港に霧がかかったら、
船は霧笛に耳を傾けて、航路を保つ。
私達も航路を外れないように
耳を傾ける必要がある。

人生をかき分けて進むタイプの昔の習慣は、
より優れた生き方を教えてくれる声を
聴く時間を、ほとんどなくしてしまうだろう。


P = Praising(称賛)
私が長年にわたって人々に教えてきた概念で、
一番重要なものは、称賛する力だ。
人を成長させる鍵は、
正しいことをしている人を見つけて、
そうして、彼らの肩を叩いて、
彼らの行動を称賛するのだ。


正しいことをしていることを認められ
褒めてもらうほど人のモチベーションを上げることはない。
もしあなたが人生の航路を進んでいきたいのであれば、
あなた自身が良いことをしている自分を見つけて
褒める必要がある。

もし私達が、目の前にある愛に手を伸ばして
それを受け入れれば、
私達は自分たちのことも
他の人のに対しても
より思いやりをもち、耳を傾け
助けることができるようになるだろう。

ケン・ブランチャード
「1分間マネージャー」シリーズの著者

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