悲しみに暮れて
From:リー・ミルティア
もはや命を長らえることができなくなった、14歳の愛犬エンジェル。
そのエンジェルの肉体から魂が旅立つのを手伝う――
そんな辛い選択をしたことについて前回お伝えしました。
当時の私は、エンジェルが亡くなり、悲しみに暮れていました。
小さくても賢明で可愛らしいエンジェルを
私たちは心から愛していたのです。
人生を共に歩む仲間でした。
エンジェルの姿がどこにも見えないという現実は、
終わりのない確かな現実であり、私もパートナーも体調を崩したほどです。
今は回復しつつありますが、不調の原因が喪失感にあったことは確かです。
これまでにも、愛する人やペットたちとの別れを何度も経験してきました。
多くの悲しみを乗り越えなくてはいけなかったのです。
何年も前、私の夫はクリスマス・イブの日に殺害されています。
両親も、仲の良い友人たちも他界し、
今のパートナーのクリフトンも家族を亡くしています。
旅立っていったペットたちは数知れません。
別れには悲しみが伴い、悲しみに対処するのは例外なく大変なことです。
喪失感に苦しんでいる人は、自分自身を思いやる気持ちを
どうか持ってください。
多くの悲しみから立ち直ってきた私からのアドバイスです。
悲しみが私たちの能力に及ぼす影響を、社会は見落としがちです。
大抵の人の態度は、
「仕方のないこと。そろそろ立ち直って、自分の生活を始めなくては」
というものです。
しかし、大事な人を亡くすことはこの上なく苦しい経験であり、
この世の全てが悲しみ一色に染まるかのようです。
悲しくて食欲もわかず、夜も眠れず、外の世界への興味が失せ、
判断力がなくなり、行動に支障が生じます。
心が動揺し、疲労感があり、大丈夫と思える一瞬があっても、
次の瞬間には我知らず涙がこぼれることも。
悲嘆、絶望、麻痺、怒り、罪悪感、神経過敏、
不安感にさいなまれ、集中することができず、
エネルギーも湧かず、現実感が失われる――
こうした気分の落ち込みを感じる人は大勢います。
悲しい気持ちには制限時間がなく、
悲しみに押し潰れそうなときは理性的にもなれません。
「もう乗り越えなくては」と自分に言い聞かせます。
心配してくれる友人たちもそう言います。
死は避けられないものであることを頭では理解しています。
天国は存在し、亡くなった人たちはそこにいるのだと
自分を納得させますが、それでも現実には向き合わなくてはなりません。
思い出の中の歌や香り、時間、テレビ番組など、何かのきっかけで
感情が刺激されると、抑えていた感情があふれ出てくるのです。
カードや電話、花や本などを送って下さった
多くの人達のおかげで私は慰められました。
そうした贈り物は、エンジェルのために作った祭壇に
写真と一緒に飾ってあります。
キャンドルに明かりを灯し、エンジェルを偲んでいます。
テーブルには遺灰と、エンジェルが着ていたジャケットを置き、
ジャケットを手に取り写真を眺めては、エンジェル亡き後に
心を配ってくれて人たちの愛を感じています。
皆さんにこの体験を語っているのは、誰もがどこかの段階で、
悲しみに向き合わなくてはいけないからです。
悲しさは、その人だけの個人的な体験です。
死や離婚や人生を変える出来事(失業など)により、
いつまでも消えない強い感情が沸き起こります。
愛用品(大切なジュエリーなど)を紛失したことでも
悲しい気持ちは起こります。
喪失感や強くて圧倒的な感情には対処する方法があります。
私自身、全てができているわけではありませんが、
次に紹介する方法が役立つことを頭に入れておいてください。
受け入れる。
あなたの情緒的反応はリアルなものであり、人間的なものです。
大切な人やものを失ったことで生じる落ち込みは自然な反応です。
少なくとも、今のこの瞬間は悲しい気持ちから
立ち直ろうと無理に頑張ることはありません。
深呼吸する。
深呼吸をすれば体の反応に気づき、無力感の克服に役立ちます。
深い呼吸は気持ちを落ち着かせ、ストレスを発散させます。
お気に入りの歌を聴いてみましょう。
歌の歌詞には思考をまとめる効果があることが分かっています。
できれば音楽に合わせて体をゆっくり動かしたり、
ダンスしたりしてみましょう。
動きには癒しの効果があります。
つながる。
引きこもらないようにしましょう。
喪失感や気分の落ち込みにより、自分が脇に
追いやられたような気がして孤立感が募ります。
親しい人や友人に連絡して、お茶やランチに出かけましょう。
人との連絡を絶ち切らないように。
喪失感がある時に独りぼっちになるのはよくありません。
自分の気持ちを話せる場を持つのです。
話を聞いてくれる人がいると、悲しみも少し和らぎます。
気分を紛らわす。
何かと予定を入れましょう。
誰かと会ったり、食事をしたり、ちょっとした約束をして
寂しさを感じさせる時(休日、記念日など思い出のある時)を
やり過ごしましょう。
楽しむ。
亡くなった人やペットの生涯を讃えるなど、
気持ちを明るくしたり、楽しさを作る方法を探しましょう。
支援グループに参加するのもよいでしょう。
同じ境遇の人たちと出会えるかもしれません。
そうしたグループは、地元のコミュニティや
インターネットで見つけることができます。
信じる。
この機会にスピリチュアルな儀式や行動に親しみましょう。
祈りや瞑想は信じる気持ちを強め、
神様とより強いつながりができます。
ちょっとした小さなことに慰めを感じることは、
喪失感や悲しさに対処し、克服するために欠かせない鍵です。
悲しみの中にいるあなたは、心の中にぽっかりと
穴が空いた状態になっているのです。
傷はかさぶたで覆われても、傷自体が治ることはありません。
何かを失ってどうにもならない感情に襲われた時は、
(またそうなっている人を知っていたら)
悲しい感情には時間制限がなく、
いつまでも続く恐れがあることを思い出してください。
自分をいつくしめば、癒しもより速く訪れます。
愛する人が亡くなった場合、100パーセント立ち直ることはできません。
愛する人を心の中の安全な場所にしまい込み、
その人がいなくても生きていくことを、ゆっくりと学んでいくのです。
愛と光を
リー・ミルティア