返金保証アタリマエ?
From 高木 仁也
以前、セミナーでお客さんと話をしていた時の話です。
そのお客さんはウチの商品をたくさん購入してくれているお客さんで、ダイレクト・レスポンス・マーケティング(DRM)を実際に取り入れている方でした。
その方から、相談を受けたんですが、、、
その内容が「返金保証が怖くて出来ない」という事でした。
返金保証というのは、DRMをやっている人なら当たり前のことですが、商品を購入して満足いかなければお金を返金します。というもの。
マーケティング系の商品で散々「やれ!」って言われているので、やった方が良いことはわかっているんだけど、なかなか出来ないとの事でした。
実際、ダイレクト出版の書籍は基本的に返金保証がついています。僕らにとっては普通のことなんですが、出版業界では異常なので、「本が返本できます。そして、返金します」って事を伝えるだけでも、僕らのことを知らない人はめちゃくちゃ驚いてくれます。
友人にウチの書籍を薦めた時に「お前の会社、本を返本できるって売上大丈夫なん?」ってビビってました。w
周りの競合がやっていないなら、返金保証を付けるだけでも差別化が図れますし、売上はあがるとは思うんですが、そもそもなんで返金保証を付けると良いのでしょうか?
なぜ、返金保証を付けると良いのか?
返金保証を付けるメリットとしては、購入数が増えるので、単純に売上が上がります。返金保証を付ける事によって、オファーが強化されるわけですから、購入数は増えるわけです。これは誰しもが知っている事実ですよね。
ただ、多くの人が恐れているのは、「返品する人が多いんじゃないか?」っていうことです。たくさんの人が購入してくれたとしても、返品する人が多かったら意味が無いんじゃないか?って。
しかも、返金する作業も面倒だし、返金する人と関わりたくないな〜って思う方もいらっしゃるかもしれません。そもそも、返金する前提で購入する人も中にはいるので、そういう人は嫌だな〜って思うかもしれません。
返金保証を付ければ、必ずと言っていいほど返金する人は出てきます。
もちろん、商品の価値を高めれば返金率は低くなっていくんですが、、、この、商品価値を上げるために、とっても簡単な方法があります。
それは、商品を提供することです。
「ん?どゆこと?」って思ったかもしれませんが、単純に商品を提供する事で、顧客は商品に対する価値を高めてくれるんです。
人間は自分のモノと思ったものに、対して購入した以上の価格を付けてしまうんです。
アメリカで行われたマグカップ実験
ある実験で、まず大学生のグループを無作為に2つのグループに分けました。そして、一方のグループにはマグカップをプレゼントとして与えました。そのマグカップはアメリカによくあるタイプのもので、大学のロゴが入ったマグカップです。
もう一方のグループには何もプレゼントはせずに、ただ何も持たないグループとして参加してもらいます。
そこで、2つのグループの間で競売をしてもらうことにしました。
この実験の目的は次の事を知ることです。
【1】つい先ほどマグカップを手に入れたグループは、お金をいくらもらったらそれを手放す気になるのか。
【2】マグカップを持っていないグループの方は、手に入れるのに何ドル払ってもいいか。
結果としては、
【1】マグカップの所有者は平均して5,25ドル以下では売ろうとしなかった。
【2】マグカップを持たない方は2.75ドル以上では買おうとはしなかった。
プレゼントで貰ったグループではマグカップに5ドル以上の価値を付け、一方で持ってないグループは2.75ドル以下の価値しか付けませんでした。2つのグループは無作為に分けられただけなのにも関わらず、どうしてこんな結果が出るのでしょうか?
これは、「マグカップの所有者」になったというだけで、そのものの価値が、持たない人よりおよそ2倍にも、跳ね上がったんです。人間は自分が所有するものに高い価値を感じ、手放したくないと感じてしまう現象があるんですが、これを「保有効果」というんだそうです。
高値で売れたハリアー
数年前に、父親が新車を購入したことがあったんですね。とても人気の車種で、予約も殺到していて、試乗する前に車を買ったんです。
とても楽しみにしていて、デザインも良い感じで、父親は嬉しくて何度も車のパンフレットをみたり、プロモーションビデオを見たりと、新しい車を手に入れる事を待ちわびていたんです。
試乗もせずに購入した車は、とっても気に入ったみたいで、目的地の無いドライブに何度も連れてってもらった事を覚えています。
購入した新車は何年も待ちわびていたというか、やっと出たか!って感じの車だったので、本人も凄く喜んでいたんですが、車の話をすると不思議な事に、買った新車の話があまり出てこないんですよ。
普通だと「いや〜新しい車はイイね。乗り心地もいいし、スイスイ走る」とか「前の車よりも性能が上がっていて、運転がしやすい」とか「ガソリンも全然食わなくなって、家計的にも優しい」的な事を言うのかな〜って思っていたんけど、あまりそういう話はありませんでした。
今でもたまに車の話をするんですが、その時にいつも出てくるのは、買った新車についての話じゃなくて、前の車の話ばかりなんです。
「前に乗っていたハリアーはめちゃくちゃ高くで売れた」という事が話題に上がってくるんです。もちろん、車を購入する時には、以前乗っていた車を売るわけですが、新しい車を買ったってことよりも、以前所有していた車が”高く”売れたって事自体に、父親は印象が残っていたみたいです。
実際に、新しいものを手に入れるよりも、今持っているものを高くで買って欲しいという欲求はあるみたいで、車のディーラーさんは新しい車を安くで提供することよりも、今、所有している車を高くで買い取る方に時間をとるとか。
いまだに、車の話をすると以前乗っていた車が高く売れたという話が出てくるくらいですから、相当、保有効果が強かったんだろうなと思います。
返金保証をつけるかどうか?
もし、あなたがダイレクト・レスポンス・マーケティングをやっているのなら、返金保証は付けたほうが良いんじゃないかなと思います(もちろん、商品によりますが)。
なぜなら、お客さんに商品が渡った時点で、お客さんは商品の価値を値段の約2倍まで勝手に引き上げてくれるわけですからね。
価値を2倍に感じても返品するっていうのであれば、その商品はお客さんにとって合わなかったということですし、返品の割合が多いのであれば、商品品質の改善をするか、価格を見直すしかないかもしれません。
人間は自分が所有するものに高い価値を感じ、手放したくないと感じる。
もし、あなたがDRMを取り入れていて、返金保証を付けていないなら、一度試してみてはいかがでしょうか?