戦略 2018/11/07

凡人とトップパフォーマーとの違い



From:リッチ・シェフレン


何らかの「危険」に遭遇したときに、人には自己防衛のメカニズムが備わっていることは、あなたも聞いたことがあるでしょう。これは「戦うか逃げるか反応」といって、一般的に動物の恐怖への反応として知られています。

差し迫った脅威に遭遇すると、私たちは危険の度合いを計算し勇敢に立ち向かって戦うか、逃走して身を隠す場所を探すか、のどちらかを選択します。

それでは、この続きは何だと思いますか?続きは特にありません。この話は忘れてください。なぜなら、この考え方は間違っているからです。私たちは何も計算しないし、何も決断しません。このような反応はすべて「プログラミング」されており、無意識に起こしているのです。実際にどのような仕組みか、説明しましょう。


第1に、危険に対する反応は「戦う」か「逃げる」だけではなく、もう1つあるということです。元FBI捜査官で非言語コミュニケーションのスペシャリスト、ジョー・ナヴァロは、これを「すくむ」反応と呼んでいます。その場でピタッと動きを止め、迫ってくる脅威にとって自分を目に見えない存在にしようとするわけです。「ヘッドライトに照らされた鹿」が良い例です。

第2に、これらの反応には起きる順序があることです。「戦う」か「逃げる」かではないのです。私たちが実際に経験する順序は、次のようになります。


1.すくむ

2.逃げる

3.戦う


私はこれを「無意識の連鎖反応」と呼んでいます。あなたも実際に考えてみてください。危険に遭遇したときに、この順序で反応するのは妥当だと思いませんか。なぜかと言えば、上記の順序で反応が進んでいくということは、それだけ「危険」にさらされ続けているからです。

第3に、これらの反応はどんな状況においても起きるということです。今日にも起きるかもしれませんし、あなたがそれと気づかないことも多いのです。どういうことか詳しく説明しましょう。



危険に対する反応の第一段階:すくむ!


昔々、洞穴に住んでいた私たちの祖先は、何か脅威に遭遇すると身を隠しました。(まさかあなたは、大きなプロジェクトの締切日に机の下にもぐり込んで、胎児みたいに体を丸めて身を隠したりしてませんよね。)

あなたの脳は、この「すくむ」という反応が、生き残る上で最も効果的な方法だとわかっています。だから、危険に対する自己防衛の第一段階として、無意識に「すくむ」のです。

なぜ「すくむ」かというと、可能な限り危険に巻き込まれないようにするためです。脅威に一切巻き込まれないことに成功すれば、あなたが生き残る確率は最も高くなります。

さて、ビジネスに話を移せば、今取り組んでいる重要な仕事が何であれ、それを無視することは、あなたが「すくむ」という反応を起こしていることになります。行動を起こさない言い訳をあれこれ考え始めるとき、あなたは「すくんでいる」のです。あなたは、状況が厳しくなったときに便利な「言い訳事典」を持っているに違いありません。


危険に対する反応の第二段階:逃げる!


「すくむ」が使えなくなると、つまり言い訳が通用しなくなると、あなたは自然に「逃げる」モードに移行します。

今や、あなたの関心は「脅威を無視する」から「脅威を避ける」になりました。

このときのあなたは、「自分は成果をあげているんだ」と思いたいがためにいろいろなことをやり始めます。当然のことながら、本来やるべきことには何の影響も与えないようなことです。

Eメールをチェックしたり、フェイスブックのステータスを更新したり、夢中でネット上の記事を読みあさったり、リサーチに明け暮れたり、といったことを始めます。

誰でも、仕事は何もしていないのに多忙な状態を作り出すお気に入りの方法をいろいろ持っているものです。ですが、その避けられないことは、無視できないだけでなく、もはや実際に避けて通れなくなります。あなたはとうとう何かをしなければならなくなります。


危険に対する反応の第三段階:戦う!


さて、ここに至るまでに、あなたは何らかの行動を起こす心の準備ができているはずです。あなたにはその感性があると、私は確信しています。

あなたは、締切日をじっと見つめています。逃げ道は1つもありません。アドレナリンが出てきます。あなたは猛烈に集中し、あらゆるリソースをかき集めて、今後の戦いに備えます。そして、超人的なスピードで働き始めます。

通常、一夜漬けでは、前々から始めていたときの半分程度の結果しか出せません。これが「戦う」という反応です。逃げ隠れができなくなって、アドレナリンがドバッと出ている状態です。

これらの反応はすべて、私たちが今住んでいる世界に適応するように進化してきました。しかし、実際は何も変わっていないのです。すくんで、逃げて、その後でやっと戦うという無意識の連鎖反応から依然として逃れられないのです。

では、あなたに一体何ができるのでしょうか?もし、人間なら誰もが「嫌なことは後回し」をするというのであれば、非常に多くのことを成し遂げる人がいるのはなぜでしょうか?

答えはシンプルです。いいですか、生まれつきこのように自己防衛する傾向があるからといって、あなたはいつもそれに負けてしまう必要はありません。

先延ばしばかりしている凡人とトップパフォーマーとの違いは、トップパフォーマーは、自分の「すくむ」および「逃げる」という反応を認識していること、そして、それらの反応に対し、戦略的に対処していることです。

そこで、今日あなたにやってほしいことは、あなた自身の「すくむ」および「逃げる」という反応を認識することです。そのためにも、重要な物事に対処するのを避けるために、あなたが用いている言い訳や非生産的な活動を、じっくり考えてすべて書き出してみてください。

そうすることが、凡人からトップパフォーマーに変わるための第一歩になるのです。


大きな利益とその向こう側へ


リッチ・シェフレン

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