史上最大の武力帝国
白昼夢の中の日本
日本が攻撃されたら、自衛隊は国民の命を守れるのか。自国を守れない、守り方も知らない日本人のために、米政府が米軍の若い将兵(男女)の血を犠牲にすると思っているのか。米国民が日本の海岸線で戦死しているのは自分たちの父と息子と娘で、日本人ではないと分かったら、日本を「独立国家」と見なさず、日本を取り、占領する。
日本国民は、戦後60年間、白昼夢の中である。
「護憲」を唱え、憲法の一字一句にも触らせまいと決意を固めている人たちは、マッカーサーが「日本人は12歳」と見下しながら、夢うつつに綴った昭和憲法が心底好きなのか。それとも、あの第9条が、日本人を、家族さえも守れない弱い群衆にしていると知っていて、この弱民状態を続行させようと企んでいるからか。
どこかの国のスパイなのか。
武力帝国・アメリカ
アメリカで、国防の話になる度に、「日本はなぜ第9条を変えないのか」と尋ねられる。私がいくら説明しても、日本人が第9条にしがみついている理由が分からない。米国憲法は度々書き加えられる。時代に沿えるように、柔軟性を持たせてある憲法だ。
世界地図を見てみれば、どの大陸にも米軍が駐屯している。米海軍が軍港として使用している港は世界中で数知れない。米海軍の強力な原子力潜水艦は、水爆ミサイルを装備して1年間潜ったまま7つの海を牛耳り、米空軍は24時間世界の空を制覇している。
アメリカは、史上最大の武力帝国なのだ。日本はこの事実を正視し、この現実から逃げてはいけない。
日本では「帝国」という漢字までも嫌われているが、顔を背けても耳をふさいでも米帝国は存在し、日本の動きを牽制し、世界制覇と経済独占にそぐわない日本の政策を潰す。しかし、日本が米軍に金を差し出している間は安全である。
思いやり予算
日本の在日米軍負担金の中には「思いやりボーナス」も含まれている。この「思いやり」は日本側(金丸信・汚職まみれの元防衛庁長官)が1978年、ベトナム戦争後、財政が極めて悪化していたアメリカの在日米軍経費の窮状を支援しようと、62億円差し出した。
日本が自発的に出したのか、アメリカが出せと言ったのかは定かではない。20年後(1999年)「思いやり」は、2756億円までに膨らんでいた(『産経新聞』2000年3月3日付)。
今や大不況で、あてもなく漂流している日本経済を立て直すこともできず、国民に「景気底入れ」と希望的観測を放ってさらに我慢を強いている政府(自民党)もやっと少し正気に戻ったのか、2001年度はこの「思いやり」から(僅か)75億円を削ると発表した。
西鋭夫著『日米魂力戦』
第4章「国の意識」の違い –12