パキスタン・クエスチョン
ロシアの武器商人
金持ちのアルカイーダは、ロシアから原爆を買い入れるかもしれない。貧しいロシア兵の中には、核爆弾庫に二万発もあるので一発くらい売ってもいいだろうと思う者も出てくる。管理のずさんな国である。事実、旧ソ連は手持ちの旅行鞄に入る小型原爆を10発製造した。7発が行方不明。
もっと怖い話がある。ロシアが保有する二万発のうち、4000発はいつでも発射可能という状態が50年以上も続いている。この緊迫した態勢を維持するのには多額の金がかかる。ロシアにその金がないので、過去二〇年間ほど放置されていた核弾道ミサイルミが錆びつきボロボロと朽ち始め、緊急事態に発展している。
ロシアは開き直るかのように、解体をアメリカに要請した。アメリカは日本にも解体費を出せと言ってきた。現在、ロシアの古い危ないミサイルを用心深く解体しているのは、米軍の核兵器解体特別部隊である。過去の遺物が現在の危機をつくるという米ソ冷戦の狂気の逸話だ。
繰り返される歴史
歴史は繰り返すのだろう。
古い「帝国の墓場」で、21世紀の帝国アメリカの戦闘部隊が、タリバン・アルカイーダのテロ集団を撲滅するために戦っているが、戦線がパキスタンにまで拡大してゆくのは時間の問題だ。
イスラム教国パキスタンは、極度な政局不安定にもかかわらず、核爆弾をすでに30発以上持っており、北朝鮮から攻撃用弾道ミサイル・テポドンを購入している。発展途上国のパキスタンは、日本からも多大のODA・援助金を受けているのにもかかわらず、核兵器を製造できるようになったのは、日本から巨額の謝罪金を受け取っている中国が技術提供をしたからだ。
パキスタンは北朝鮮からテポドンを購入したが、外貨を持っていないので物々交換として核技術を北朝鮮に提供した。このような単純な流れで、核兵器は止めどなく拡散してゆく。
さらに危ないのは、イスラム教パキスタンの隣国、ヒンズー教インドとの戦闘状態である。また、これも、終わりのない宗教戦争なのだ。インドは核爆弾60発以上を保有しており、異教の宿敵パキスタンを潰すためなら使うかもしれない。
パキスタンの重要性
最も恐ろしい展開は、米国政府がパキスタンを疑い始めた時だ。
ブッシュ政権はアフガニスタンで戦闘を続行するため、パキスタンが必要だ。だが、パキスタン政府と軍隊と秘密警察の内部に、アルカイーダのシンパが多数いるのは明白で、アフガニスタンから逃げてきたテロ軍団をかくまっている。それを熟知しているブッシュ大統領は、CIA特別武装隊を送り込み、全力を挙げてテロ抹殺に乗り出した。
ウサマ・ビン・ラーデン(サウジアラビア人)の参謀と言われている男たちを捕まえ始めた。抵抗したため、殺された者たちもいる。アルカイーダの指導者たちが殺されたというニュースは、ここアメリカでは吉報である。
西鋭夫著『日米魂力戦』
第5章 戦争と平成日本 –34