豊かな生活:できるまでは、できるフリをする
美術館の攻略方法
芸術を鑑賞するほど、あなたの人生を豊かにしてくれるものはない。芸術とは絵画や彫刻などの美術品だけでなく、工芸品(木工細工、刺繍、石造建築など)やスポーツも含む。
もし心豊かに暮らしたいのなら、人生に芸術を取り入れなければならない。私がたった今、それをあなたに義務付けた(それが事実だからである)。
今回は、美術愛好家になるための美術館攻略法を教えよう。
あなたが美術館を好きでないとしたら、恐らく間違った見方をしているのだろう。例えば、多くの人は美術館に対するアプローチ方法を間違えている。いろいろやり過ぎてしまうのだ(鑑賞し過ぎ、勉強し過ぎ、時間の使い過ぎ)。
あなたにどれだけ空き時間があろうが、どれくらい美術館のある街に滞在しようが関係ない。何時間もかけて美術館を見て回ることは、何かを学んだり楽しむ上では最も非効率な方法なのである。私からのアドバイスは、1つだけ展覧会や区画、もしくは部屋を選んで見ることだ。そして2時間以上は使わずに、正しく鑑賞する。
正しく鑑賞するには:
1.鑑賞前に予備知識を付けておく。
展示についてのパンフレットを読んだり、入り口の壁にある説明を最初に読むといいだろう。または、インフォメーションデスクの人と話をしてもいい。例えば、あなたがアンディ・ウォーホルの展覧会に行くのなら、(彼がアメリカで一番重要な「ポップ」アーティストの一人だということ、彼が自分自身をプロデュースして有名になったこと、そして一部の評論家たちは、彼のことをアーティストよりプロモーターとしての才能があると考えていることなど)基本情報を知っておく必要がある。
2.自分の好きな作品について勉強する。
簡単な方法は、美術館の壁やカタログにある説明を読むことだ。音声案内を利用する場合、早送り方法を確認しておこう。自分が興味のある部分だけを聞くためである。
3.鑑賞対象についての「勉強」を終えたら、もう一度同じ展示を見て回る。
今回は足早に、あなたが事前に勉強した美術品をもう一度鑑賞するのだ。アーティスト、タイトル、興味をひく事柄などを覚えているか確かめよう。そして、2回目の鑑賞でも1回目と同じくらい、その作品が好きかどうかを自分に問いかけてみる。
この3つの手順を踏めば、美術品について簡単に、楽しく、効果的に学ぶことができるだろう。
あなたが展覧会に90分の時間をかけることができるとする。最初の15分は基本的な情報を集めるのに使おう(どんな種類のアートで、なぜ重要と考えられているのか?それに関する専門家の意見など)。次の60分で美術品をじっくり「勉強」し、最後の15分は復習に充てる。
「ピカソは退屈」や「エドゥアール・ヴュイヤールは絵があまり上手くなかった」といった大雑把な一般論を、たった1回の展示を見ただけで語るべきではない。なぜなら、ピカソがまったくもって素晴らしい天才だったことや、ヴュイヤールは完成したテクニシャンであったことを、後に発見するかもしれないのだ。もし見る目を養いたいのなら(そうするべきである)、最初は大まかな意見(例えば、「私はマティスよりモネの方が好きですね」など)を用意しておくと無難である。しかし、この初期段階の意見を永久に持ち続ける必要はない。あなたがもっと時間をかけ、美術品を見る目を鍛えていく上で、意見は変わっていくものなのだ。
私が言うまでもなく、あなたの目的は世間一般の通念を学ぶことではない。月並みな美術品(政治、文学、映画なども)に関する所見などおもしろくもない。興味深い意見というのは、特別で個人的な経験から出てくるものなのである。
美術館巡りをするときに一番重要なのは、鑑賞する作品を絞って一つ一つ真剣に見ることだ。何週間、何ヶ月、そして何年たった後も視覚的な記憶を強く持ち続けることができるし、あなたが見たものについて知的に語り合うことができるだろう。
マーク・M・フォード
Presented by インベストメントカレッジ