富のステージ
世帯収入に対する私の定義はこうだ。
・アメリカで世帯収入が500万円以下の場合、あなたは貧乏である。
・500万〜1500万円の場合、生活はできるが贅沢はできない。
・1500万円を超えれば、あなたは中流クラスである。
・1億円を超え始めたら、物事は大きく変わる。税引き後の金額すべて、あるいはほとんどを貯蓄に回すことが可能になる。
この定義は私の読者の間に反響を呼んだ。そして、少し考え直してみると、多くの意見にもうなずけるものがある。THには、「もし世帯収入が800万円以上ならば、それはアメリカ全世帯の上位20%に位置し、1420万円を超えると上位5%になります(しかし、あなたによると、これは「かろうじて中流クラス」のようですね)。つまり、中流の暮らしを送ろうとするならば、93%のアメリカ人よりも多くのお金を稼がないといけないのです」と指摘された。
また、DFには「ありがとうございます。私の人生が最低な理由がようやく分かりました」とのコメントをもらった。
それ以来、このことについて考えていたのだが、私が言わんとしていることは正しいが、いくつかの細かい数字については間違っていたらしいという結論に達した。
あなたが倹約家で賢ければ、1500万円以下の収入でも、中流クラスの生活を営むことができるだろう。RFがその良い例だ。彼とその妻には合わせて800万円ほどの世帯収入しかないが、非常に賢い消費者なので、とても良い暮らしをしている(彼らが買うものはほとんど中古品だが、最高品質のものしか買わない。新品の安物は時間と共にダメになったり流行遅れになったりするが、彼らのものは状態が良いままだ)。彼らの家は大きくて素晴らしいし(RF自身がリノベーションと庭のデザインを手がけた)、高級車に乗り、素敵な家具やかっこいい電子ガジェットも所有している。
よって、私は任意で決めた富の物差しに、収入が500万円〜1500万円の家庭という、もう一つのカテゴリーを追加することにした。そして、彼らのことを中流クラスと呼ぶことにする。その上のレベルである1500万円以上〜1億円超えのカテゴリーには別の呼び方が必要になるので、彼らを「高所得者層」と呼ぶことにしよう。お金をたくさん稼ぐことによって、好きなときに外食ができたり、豪華な休暇を過ごしたり、高級車に乗ったりと、多くの中流クラスの人たちにできないことができる人たちだ。
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私は自分の収入が初めて1000万円を超えたときのことを覚えている。当時の会計士が、これからは「高所得者の世界」だと教えてくれた。彼がそのときに言った言葉もよく覚えている。彼は、「おめでとう、ついにやりましたね。あなたはアメリカンドリームを生きるのに十分なお金を稼ぐようになりました。どんなおもちゃでも手に入れることができるのですよ」と言ったのだ。
「どんなおもちゃでも?」と私は聞き返した。
「すべてです。これ以上稼いでも、あなたの基本的なライフスタイルは変わりません。おもちゃの大きさが変わるだけなのです」
これこそが、私がいつも言わんとする重要なポイントなのだ。そして、それをここで再度主張することができ嬉しく思う。
もしあなたが経済的に苦労しており、いくら稼げば十分なのだろうと思っているのならば、1500万円というのが私の意見である(20年間の物価上昇を考慮して上乗せしてあるが、もしかするとちょっと高いかもしれない)。あなたの世帯収入がこのカテゴリーに入るならば、心配することはない。いや、ほぼ心配することはないとしておこう。しかし、そこには高所得者と真の富裕層を隔てる違いがあり、あなたはおそらくそれを乗り越えることはできない。
あなたの収入が1500万円〜1億円の間だとすれば、所得スケールの大きさによって、さらに大きなおもちゃを所有し、良い暮らしを送ることができる。しかし、ここであなたがおそらくやっていないのが貯蓄である。少なくとも、あなたは富を生み出すのに十分なお金は貯めていないだろう。
そして、それが2つ目の重要なポイントなのだ。高額収入(年収1500万円以上)は、あなたに裕福なライフスタイルをもたらしてくれるが富をもたらしてはくれない。人生や、高価なおもちゃを満喫し、ステータスシンボルとなるものを身に付けたり高級車を運転するだろう。しかし、あなたの銀行口座に大金は入っていないのだ。
そこそこの裕福なライフスタイルを支えるための受動的所得を得るのに十分な富を持つには、少なくとも1億円の投資可能な純資産が必要である(むしろ2億円かもしれない)。1億円〜2億円の貯蓄を作るのは易しいことではない。それだけのお金を貯めこむには、長期間にわたって少なくとも毎年500万円を貯めていく必要がある。あなたが2500万円、3500万円、あるいは7500万円稼いでいればそんなことは簡単だと思ってはいないだろうか?
しかし、そんなことはないのだ。
まず最初に、政府があなたのお金を追いかけてくることになる(税金逃れの方法を教えてほしいなど言い始めないでほしい。そんなものは1986年以降存在しないのだ)。連邦税を払い、州税と地方税(固定資産税や消費税など)を支払った後に、収入の半分が残っていればラッキーだろう。
では、ほとんどの人が巨額だと考える7500万円の収入が、あなたにあるとしよう。すべての税金を支払うと、あなたに残されるのは3750万円である。しかし、これは中流クラスのしきい値である1500万円を2000万円も上回っているので、これだけあれば十分だと考える。だが、そういうわけにはいかないのだ。
何が起こるかというと:
あなたはより良い地区にある、より大きな家に引っ越す。そして贅沢するのはこれだけだからいいだろうと自分に言い聞かせるのだ。自分にはそれだけの価値はあると感じているからである。あなたが2000万円の家に住んでいた頃は、今の半分の収入しかなかった。しかし、今なら1億5000万円の家を買うことができるだろうと計算をする。また多くの専門家も、それが可能だと言うのだ。
しかし、あなたは保守的なので7500万円の予算で家を探し、最終的には1億円に少し足りないくらいの家を買うことになる。そして、そこからが崩壊の始まりだ。
あなたは今まで使っていた古い家具を持ち込むが、その新しい豪邸には似つかわしくない。そこで、古い家具は全部捨てて買い物に行く。でも、ぴったりなものを自分で探すのはほぼ不可能なため、誰かを雇って手伝ってもらうことになる(新しいご近所さんの奥さんが以前依頼したことのある人など)。
1カ月後、あなたは家具に3500万円も使ってしまっているのだ。ありえないと思うかもしれないが、もう少し読み続けてほしい。
これは、ほんの始まりなのだ。あなたはご近所さんに笑われないために車をアップグレードする。あなたは毎月10万円のローンでBMW740lを、あなたの配偶者は毎月7万円のローンでランドクルーザーに乗る。
次の年にはあなたの子供たちが私立学校に通うことになり、(「うちは公立で十分だ!」というのがあなたの主張であったにもかかわらず!)それが1人あたり年間150万円の出費となる。そこにサマーキャンプや、ヨーロッパ旅行、高価な服などが加わる。そして、今や1万5000円のスーツはあなたにふさわしくないし、そうあるべきでないのだ。
まだまだ続く。庭や、髪型、靴、それに医者。すべてが今までよりももっともっとお金がかかるのだ。そして面白い真実を発見することになる。アメリカでは、物やサービスの値段は、あなたの所得に比例して増えるのだ。
そう、これは不愉快で許しがたいが、 「1円も貯めることができない」というのが富裕層の嘆きなのである。私の友人で、ボカラトンで不動産弁護士をしているEPは「医者や弁護士の消費支出がどれくらいかなんて想像もつかないだろう。彼らにはキャッシュフローはあるが、何も残らないのだ」と私に言ったことがある。
つまり、あなたが年を取りすぎる前に富を手にしたいのならば、自分が簡単に使ってしまう以上の額を稼ぐ(私の主張としては年間1億円である)、あるいは節約してクリエイティブに生きながら、毎年500万円貯める方法を学ぶことである。
節約生活の秘訣を教えよう。簡単なことだ。高級住宅地に家を買わないこと。あなたがすることや買うものすべての値段は、あなたの住んでいる地区に左右される。もし2000万円の家に住み続けながら、毎年7500万円稼ぐことができるならば、あなたは必要な額を10年以内に貯めることができるだろう。
しかし、あなたが我々と同じならば、1億円超えというすごい収入がない限り、大きな貯蓄はできないだろう。そして、そのときこそ、あなたの消費癖にもかかわらず富が築ける戦略が必要なのである。
今、私はそのような戦略を作ろうとしている。私の良い友人であり弟子でもあるPHは、億万長者になる方法を私に依頼してきた。彼は年収2000万円という非常に良い稼ぎがあっても、それを貯蓄に回すのがいかに難しいかを知ったのだ。
私はこれからPHと一緒に、彼と同じような状況の人々すべてに役立つ戦略を作っていこうと考えている。最終的にはこのサービスを有料で、そしておそらく高額な料金で提供するだろう。しかし、少なくともそれまでは、私の考えは無料で提供するつもりだ。
マーク・M・フォード
Presented by インベストメントカレッジ