型にはまらない思考法
「型にはまらない思考」は重要だと言われている。困難な問題を解決するためには、このような考え方をする能力が不可欠だそうだ。私はこの見解に大賛成である。というのも、この種の知的思考力のおかげで問題が解決されるのを何度も見てきたからだ。
さて、JWによると「型にはまらない思考」(Think outside the box、直訳すると「箱の外を考える」)という表現は、「9個の点つなぎパズル」と呼ばれる知能テストに由来するらしい。
このパズルでは紙の上に縦3列、横3列、合計9個の点が等間隔に配置されていて、できるだけ少ない線ですべての点を結ぶ。それぞれの点は1度しか通ることができず直線のみだ(曲線は不可)。また、ペンや鉛筆は紙から離さず一筆で書かなければならない。ルールはこれだけだ。
誰かが挑戦しているのを見たことがあれば分かるだろうが、ほとんどの人は線を5本以上引いている。でも、4本の線ですべての点をつなぐのは意外に簡単だし、3本以下でも可能なのだ。
型にはまらない思考のコツは、問題を解く際に自分の中で勝手な思い込みをしていないか考えてみることだ。もっと具体的に言うと、「実際には存在しない制約を勝手に作り上げ、解決策の枠を狭めていないだろうか?」と自分自身に問いかけるのだ。そのような「既成概念にとらわれずに」物事を考えるようにすると、解決策はすぐに出てくるだろう。
このパズルの場合、「縦3列、横3列の正方形の枠の中しか線を引いてはいけない」と思い込んでいるのだ。しかし、枠の外に線を伸ばしてはいけないというルールはない。あなたが勝手に頭の中で境界線を作っているだけだ。「型にはまらない思考」で枠の外側まで線を伸ばしてしまえば、すべての点を4本の線でつなぐことができる。
それどころか、「『紙を円柱状にしてはいけない』というルールがないことに気付けば、1本の線ですべての点を結ぶこともできる。紙を丸めてらせん状に点と線をつなげていけばいいのだ」と、JWは言う。
私は型にはまらない思考を使って、友人でビジネスパートナーでもある2人の間に生じた問題を解決したことがある。細かいことは知らないが、肝心なのは彼らの契約が行き詰まっていたことだ。その契約は一方にはメリットがあったので、その友人は契約が遵守されることを望み頑として考えを変えなかった。しかし、もう一方にはメリットがなく騙されたように感じていて、訴訟を起こす準備も始めていた。
そこには、「一度交わされた契約は守らなくてはいけない」という暗黙の思い込みが存在していたからだ。だが、ここで基本となる両者の関係は契約内容ではなく、一方が提供する商品をもう一方は喜んで購入したいと思っていることに基づくべきだと、私には分かっていた。
そこで私は両者に、契約内容をめぐって言い争っても誰の得にもならないと説明した。そして、彼らは一度契約を白紙の状態に戻し、両者共に騙されたとは思わず満足できる内容に変えて再び契約を交わしたのだ。
あなたが困難な問題にぶつかったときは、問題解決の選択肢を狭めている「隠れた思い込み」がないかを考えてみるといい。そして、そのような思い込みがあれば無視することだ。その効果にあなたは驚くだろう。やがて、クリエイティブな方法で問題を解決するのがうまいと、あなたは評判の人物になれるはずだ。
マーク・M・フォード
Presented by インベストメントカレッジ