富とお金 2018/06/27

人種差別も貧困も無知も実在するのがアメリカだ




ほかのすべての国と同様に、アメリカは不平等な国だ。政府が何千億円も投入し不均衡を是正しようとしても、経済格差はなくならない。

政治家や官僚、社会運動家、集団主義的な思想家が規制できないものを規制しようと躍起になる一方、野心的な人間は誰の助けも借りず、自由の国で自分の領地を切り開いている。

ギャング、ラッパー、NBA選手に人気のジュエラー


「スポーツ・イラストレイテッド」誌で特集されたジェイコブ・アラボについて考えてみる。1979年、アラボは17歳で当時ソビエト連邦下にあったウズベキスタンからアメリカに移住した。そして、すぐにニューヨークの西47丁目にあるジュエラーのもとで床掃除や品出しの仕事を始めた。

英語が分からず、高校すら卒業していないアラボは、週70時間働いた。成功に向け、そして次のステップに這い上がるため、言われた仕事は何でもやった。その後、カプラン・ダイヤモンド・センターのカウンターを間借りし、自分でジュエリーを販売し始めた。

彼は雇用主や商品の売り方を注意深く観察していたので、競合のダイヤモンド商人たちから抜きん出るには「ユニーク・セリング・プロポジション」(USP)が必要であると、23歳にして理解していた。

彼は自分でジュエリーをデザインし、売春斡旋人や麻薬の売人など、ニッチでも勢いのある顧客に売り込むことにした。アラボはカルティエには勝てないと分かっていたので、MTV(音楽専門のケーブルチャンネル)で見たような、ド派手なサイズの大きい装飾の商品ラインを揃えていった。

魅力あるUSPならすぐに評判が広まる


地元のギャングたちが数人アラボの店に訪れ、リベラーチェしか理解できないようなデザインの商品を見に来た後、すぐに評判が広まった。金メッキ仕様のメルセデス・ベンツが店の前に止まるようになるまで、大して時間はかからなかったのだ。

運も味方し、ラップスターなど新しい顧客がついた。さらに、プロのスポーツ選手のあいだでも彼の商品の人気は高まったのだ。

今日、アラボは20億円を売り上げ、顧客の3分の1がスポーツ選手かラップスターだ。シャキール・オニールはアラボのブレスレットに1,700万円、プロボクサーのモンテ・バレットはダイヤモンドで覆われたプラチナのボクシンググローブのペンダントに2,200万円支払った。

NBA選手のステフォン・マーブリーは、アラボのお気に入りでもある130カラットのダイヤモンドがついた、プラチナのバスケットボールネットに見えるブレスレットを2,500万円で購入している。ほかにもアレン・アイバーソン、レジー・ミラー、マイク・タイソン、ロイ・ジョーンズ・ジュニア、ナジーム・ハメド、ショーン・コムズ、ジェイ・Zなど、そうそうたる顔ぶれがアラボの顧客だ。

スタートが謙虚なら成功しても謙虚であり続ける


彼は成功した今も、プラスチック製の椅子とフォーマイカの机が置かれたシンプルなオフィスでビジネスをしている。「顧客はオフィスが綺麗か、レザーの椅子があるかなんて気にしない。そういうものを求めるならカルティエに行けばいい」とアラボは言う。

起業時の苦労が心に刻まれているせいか、謙虚でいることを好むのだ。彼には妻のアンジェラを含めて5人の従業員がおり、15の業者を使っているが、デザインはすべて自分で手がけている。

彼のビジネス戦略は、特定の顧客グループがまさに欲しがるものを、たくさんのカラットを使って間違いなくユニークで目立つ商品にする。そして、それを比較的安価に提供することだ。

私にとってアラボは起業家の英雄である。彼は本当にゼロから始めたからだ。教育も資金も家族も友人もなく、言葉すら喋れないところから、たった10年足らずで素晴らしいスモールビジネスを構築したのだ!

彼は必要なだけのお金を手に入れ、何十人もの有名人と親しくなり、一定の名声も得ている。そして彼はアメリカ人だ。これ以上何を求めることがあるだろう?

彼にアドバンテージがあったとは言わせない


被害者意識の強い人や疑い深い人なら、アラボは白人だったから成功できたと指摘するかもしれない(彼にはアジア系の血も入っている)。しかし彼のライバルで、ロサンゼルスにジュエリー店を持つクリス・エアーはどうか?彼はラッパーなどの顧客に加えて、シャキール・オニール、エルトン・ブランド、ショーン・ケンプなど多くのNBA選手にジュエリーを販売している。彼もアラボのように無学の移民だったが、アラボとは違って黒人だ。エアーは1984年にナイジェリアから移住し、現在は裕福で著名人の一人になっている。

マーク・M・フォード

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