富とお金 2019/05/15

ミステリアスな存在になることで力を得る方法-そしてそれをやり過ぎてはいけない理由




バルタザール・グラシアンは17世紀のスペインの詩人であり、イエズス会の司祭でもあった。彼は神託をまとめた書物において、力を得ることを望む読者に対し、「謎は崇拝をもたらす」ので、「物事は謎めいたままにしておく」よう助言している。

確かにそれは大いなる真実であろう。物事をあからさまにしない人は、口が軽い人にはない力を持っている。

あなたの周辺にこういう人はいないだろうか?自分が考えていることを決して口に出さない人だ。ビジネスの話をしているときに非常に用心深い人、そして個人的な感情について会話を避けようとする人だ。

私の周りには何人かいて、これを書きながら思い浮かべることができる。彼らは言葉を発することや、意見を述べることに出し惜しみをする。そして「私は要人であり、私はそれにふさわしい振る舞いをする」と言わんばかりの印象を放っているのだ。彼らの堂々たるうぬぼれぶりは、服の着こなしや選ぶ言葉、声のトーンでさえも、すぐに見てとれる。

彼らはあなたのジョークに笑ったりはしない。そして、あなたが何か質問をすると、いかにもうっかりあざ笑ってしまうのを自制するかのように、ちょっと間を置いてから話したがらないだろうか。

彼らは忠実にこのようなふさわしい振る舞いをすることで、ある高みに達するのだ。私は彼らのような人と一緒にいるときに、自分の振る舞いや話し方を彼らの基準に合わせようと頑張っていることがある。

一方で、私はこの「物事を謎めいたままにしておく」というイエズス会の司祭の言葉は正しいと思う。しかし、またその一方で、こういう人たちは人を巧みに操るのではないかと、信用することもできない。私は信用できない誰かとは、ビジネスをする上ではとても慎重になってしまう。

そこで私はこう自問しなければならない。「謎めいた行動を取ることで得られる力は、人を操るように見えてしまうことで失う信用よりもはたして価値があるか?」

そして、少なくとも私にとっての答えは、「ノー」である。

優れたビジネスマンは、隠すようなことは何もない。なぜなら、

彼らは自分のスキルに自信を持っている。役に立つスキルを身につけたおかげで、ビジネスがどんな局面にあっても、そのスキルを駆使して問題を解決し、解決策を見つけ、利益を生み出すことができる。

彼らは過去に受けたあらゆる援助に感謝している。全部自分一人でやってきたと考えるほどごう慢ではない。周りからの助けを認め、そのお返しに周りが助けを必要としているときは喜んで手を差し伸べる。

彼らは他人から学びたいと考えている(また教えることによって、より多くのことを学べるということもよく分かっている)。

私はあなたに何もかも開けっ広げにしろと勧めているわけではない。あなた自身やあなたのビジネスについて話すときは、少し控えめにするのは有効だ。そうすることで、あなたは少しの力を得ることができるかもしれない。

しかし、そういう理由でやり過ぎると、裏目に出るだろう。話すのを控えるのは、じっくりと考える時間を持つためだ。あなたは自分で何を話そうとしているのかをよく考え、結論を慎重に導き出し、述べた意見に修正するべきところがあれば修正しよう。しかし、何も言わないのはダメだ。

そして、あなたはいつしか周囲の人たちから、オープンで正直で信用に値する献身的な人として見られるようになるだろう。長い目で見れば、このような評判を得ることで、ミステリアスな存在で得られる成功よりもより大きな成功を収めることができるのだ。

マーク・M・フォード

                Presented by インベストメントカレッジ

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