ちょっと言ってみただけ

アメリカのコメディードラマ「となりのサインフェルド」の寸劇で、私が実際に見たのか、又聞きなのかは忘れたが、失礼な発言の後に「ちょっと言ってみただけだよ」と付け加えてごまかすシーンがあった。

「君はそのズボンを履いていると、後ろ姿がちょっと太って見えるね」

「なんだって？」

「いや、ちょっと言ってみただけだよ」

サインフェルドはジョークを言わなくても面白い。彼は日常の中に皮肉を見つけ、それを面白おかしく話すことに長けているからだ。

私が講演した際に、聴衆から反感を買ったことがある。予期しない展開で驚いてしまった。「ちょっと言ってみただけ」だったのだが。

しかし、私の話の意図を理解してくれない人がいても驚くに値しないのかもしれない。賢い人でも分かってくれないことはある。自分が真剣に考えているアイディアに反論されると気に食わないのだろう。

その気持ちは理解できる。私も自分の妻や子供のことを言われると気に触る。言いたいことを言うのはいいが、他人の家族に対してはやめるべきだ。

だが、アイディアの場合はどうだろう。アイディアを考えるのは楽しいことであって、真面目すぎるのはどうかと思う。

アイディアは家具よりもアートに近い。関心を引くものであって、癒されるものではない。

とはいえ、この話も「ちょっと言ってみただけ」なのだが。

マーク・M・フォード

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