富とお金 2019/05/03

ただ働きをしてはいけない




私の知り合いに、7年勤務した会社を解雇されてしまった人がいる。解雇理由は、上からの命令に従わなかった、業績・勤務態度が悪かった、背信行為の疑いなど、いろいろ噂された。

だが、彼の職業倫理や信頼性に異議を唱える者はいなかった。それでもある日、彼は解雇通知書を渡され、人事部へ行くように言われたのだ。彼はそこで退職金を受け取ったのだが、期待していたよりも少ない額だった。彼は消化していない有給休暇と、毎年サービス出勤をした1週間分の支払いもしてもらえると思っていたのだが、受け取った額はそれよりもずっと少なかったのだ。

彼の過ちは、有給休暇を返上して働いたことを誰かが評価してくれるものだと思い込んでいたことだ。しかし、実際はそうではなかった。ふたを開けてみたら、彼が期待していたような評価は誰からもされていなかったのだ。コツコツと積み立てた努力は、いざというときになくなっていたわけだ。

これは重要な教訓である。


あなたが仕事により長い時間を費やすとしたら、それは評価を得るためではなく、より良い仕事をするためなのだ。実際のビジネスでは仕事の成果に対して報酬が支払われるのであって、どれだけ頑張って仕事をしたかではない。

もちろん、早めに出勤するべきだし、ライバルよりも一生懸命働くべきだろう。しかし、それらはあなたのスキルを磨き、仕事の質を高めるためにおこなうことだ。

それができればおのずと、そして間違いなく、あなたは会社にとって有益な人材となり、報酬も上がるはずなのだ。

あなたが雇用主ならば、もうお分かりだろう。従業員を雇うのならば、あなたに最も貢献してくれる人に、最も多くの報酬を支払いたいと思うはずだ。

仕事のために努力したり長時間働く従業員を評価してあげたい、と考える雇用主も多いだろう。私もこれまで勤勉に働く人たちを解雇せねばならないことがあったし、それはとてもつらいことだった。しかし、誰を残し、誰を切るかという段階において、唯一基準とするべきものはその人の能力なのだ。つまり、誰が一番私にとって有益なのかが問題なのである。

こんなふうに考えてみるといい。ジョンは8時間で5000個袋詰めをする。メアリーも1日5000個こなすが、そのうち4000個は職場で、残りは家に持ち帰り子供たちが寝た後にする。きっとあなたはメアリーの頑張りを高く評価したいと思うだろうが、果たしてジョンより多い報酬を支払うだろうか?いや、そうはいかないだろう。

では、どうすればいいのだろう?


1.有益なスキルを身につけるためだけに、あなたの労力と時間を費やす。そして、スキルを磨くために費やした時間への報酬は期待しない。

2. スキルを身につけたら、それに見合った報酬を得ているかどうかを確認する。

3. 有給休暇は権利なのだからきちんと消化する。休暇を取らずに働いていることをアピールしても無駄だ。

ここで肝心なのは、あなたの仕事が雇用主にとって有益であることだ。そして、それに対する金銭的、非金銭的な報酬も給与に反映されるべきである。これらはあなたが当然もらってしかるべき報酬だからだ。

仕事の質を高めることに専念しよう。そして、しっかりとその見返りを得ることが大切だ。

マーク・M・フォード

                                                Presented by インベストメントカレッジ

関連記事