富とお金 2018/08/08

ZARA:21世紀の企業




「ニューヨーカー」誌のある会社概要には、21世紀を勝ち抜くためにあなたがしなければならないことが書かれている。

その会社とは、ガリシアに拠点を置くスペインの衣料品小売業者であるZARAだ。ZARAはこの業界で第3位の規模を誇り、最も早い成長を遂げている会社の一つだ。毎年利益を30%以上伸ばし、その数字はGAPやスウェーデンのH&Mなど、大手競合会社の投資利益率をしのいでいる。

ZARAの成功は、私たちがすでに知っている2つの賢いビジネス戦略を基にしている。

1.2番手で十分である。その市場で1番手になる必要はない。1番手は良いことだが、リスクもあるしお金もかかる。2番手であることは(ZARAの場合、うまく行く方法を真似すること)はその市場に入り込み、最終的には支配するために十分良い方法なのだ。

2. 他社と同じことをやっても競合相手を追い抜くことはできない。彼らの弱点を見つけ、それを利用する手立てを探すのだ。

ZARAは過剰在庫と、信頼性の薄い開発途上国での製造という、ファッション業界が持つ2つの最も重要な問題を克服した。移り変わりの激しい情熱的な市場で重要なこととして、この会社はファッションの最新をキープするだけでなく、とにかくその最先端に立つ方法を見つけたのだ。

「ニューヨーカー」誌が指摘するように、服飾業界の悩みは新しいデザインが描かれるのと、店に商品として到着するまでの時間のギャップである。この6〜12カ月のサイクルが、毎年どのファッションリーダーが新しいスタイルを展示するのかを決定するのである。

しかし、ZARAは12カ月ごとの回転を取り入れていない。それとは程遠く、たったの数週間で回転させているのだ。この会社は新しいファッションを数週間で顧客へと届ける方法を作り上げたのである。

ZARAは最初に、自社のデザイナーブランドを持たないことによって、この スタンダードを確立した。その代わりに、模倣するという分野に足を踏み入れたのだ。流行を予測するのではなく、それを追うことにより、ZARAは数カ月も企画を立てたりする必要がなくなったそして、高額なデザイナー費を排除し、あらゆるコストやそれにかかる面倒をなくしたのだ。

こうして過剰在庫の問題はなくなった。デザインは限りある数だけ作られ、数週間のうちに商品棚に並び評価されるのだ回転が遅く良い反応を得ることができなかった商品は、すぐさま別の商品に入れ替えられる。そして、これにはまた別の利点がある。ZARAは売れ行きの良くない商品を割引販売する必要がないのだ。

ZARAはスペイン国内に独自の高度に自動化された工場を持ち(23カ所)、そこで布地が裁断され、染められている。その後、その布地はガリシアや北ポルトガルにあるおよそ300カ所の小さな作業場に運ばれる。それらの作業場は下請けというよりもパートナーとして運営されている。このようなミニ工場をたくさん持つことでZARAは200、300ではなく、年間1万1000種類ものデザインを作り出すことができるのだ。そして、彼らは小さなロット数で製造するため、素材をストックする倉庫も必要ないのである。

世界中にあるZARAの小売店には、スペインにある自社のデザインルームに直結しているハンディタイプのデバイスがある。それを使って、顧客がどのような商品を購入し、はねつけ、望み、興味を持っているのかなどの情報を打ち込むようになっている。驚くことに、デザイン(模倣)から販売まで、たったの10〜15日しかかからないそうだ。

ZARAがほかの競合他社をしのぐために、昔ながらのビジネスリレーションシップと現代技術を組み合わせた方法は、ルイ・ヴィトンのファッションディレクターであるダニエル・ピエットに「おそらく世界で最も革新的で破壊的な小売業」と言わしめた。

これらのアイディアを、あなたのビジネスプランにも取り入れることができないか考えてみよう。

マーク・M・フォード

                                                Presented by インベストメントカレッジ

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