経済
2018/04/23
ヴァイツゼッカー演説に見るドイツの偽善
日本は敗戦後、軍事に対するアレルギーは強かったが、東西ドイツは冷戦の最前線に位置していたため、軍事問題に対してはまともな感覚を持っていました。
しかし、戦後のドイツ人としては、かつて自分たちが熱狂的にヒトラーを支持し、残虐なことをした当事者であるという歴史は否定したかった。1985(昭和60)年5月、当時のヴァイツゼッカー大統領がドイツ連邦議会で行った演説の特徴は、自分たちも被害者であると位置付けていることです。
戦後のドイツ人にとっては、自分たちがレイシストではないと証明し続ける手段が移民と難民受け入れであり、少しでも難民を拒む姿勢を見せれば、ナチズムの信奉者として排撃されます。
つまり、自己欺瞞に基づいて移民・難民は受け入れているうちに、それが自己欺瞞であることを忘れ、1つのイデオロギーとして定着してしまったわけです。
現在、EU経済はドイツによって支えられており、経済的に見れば、EUはドイツ第四帝国です。しかし、かつての第三帝国と同様、成立するやいなや崩壊が始まっています。
ドイツは財政赤字をGDP3%以内に抑えることなど、自国の基準を他国に押し付けているだけです。慢性的な財政赤字を抱え、恒常的に通貨切り下げを実行していたイタリアやフランス、ギリシャから、「俺たちをすべてドイツ人にする気か」という不満が出るのは当然です。
次回のフランス大統領選挙は5年後であり、その時にルペンが大統領になる可能性はありますが、それでは遅すぎます。フランスの国家解体が進み、今以上に中東系難民の流入が進んでいるでしょう。
2017年9月1日発行藤井厳喜・宮崎正弘著『韓国は日米に見捨てられ、北朝鮮と中国はジリ貧』第4章 世界の大変貌 中国、EU、ロシア、そして極東ーP162