踏み躙られた日本の知性
マッカーサー応援団の結論
使節団報告書は、日本の生徒たちが「いかに明敏で勤勉でも、漢字を覚えたり書いたりするために割り当てられる法外な時間数の割には、成果は失望的である」と述べている。
さらに、「小学校卒業時の生徒たちには、民主社会の市民となるのに必要な言語能力が欠けている。新聞や大衆雑誌のような一般的読み物を読みこなせない。また一般に、現代の問題や思想を扱った書物の内容を理解することもできない。そのうえ、生徒たちは読書を卒業後の啓発の手軽な道具にできる程度に、国語力をつけることが一般にできない」とまで断言した。
教育使節団は日本の生徒たちは初等教育を終えた後、なんら新しいものを学ばないし、また学べないので、日本人は一生涯12、3歳の頭脳だと言っている(マッカーサーと同じ考えだ)。
日本語は民主社会に適さない
教育使節団は、日本語が日本国民の知的成長を妨げている、とまであけすけに言うことができなくて、婉曲な言い回しをたくさん用いている。
「漢字にはある種の芸術的価値などが内在していて、それは音標文字体系(ローマ字)では決して完全に伝えられないものだ」と率直に認めているが、「いずれ、漢字は一般的な書き言葉としては全廃されるべきであり、音標文字体系が採用されるべきである。……民主社会の市民として成長し、また国際理解を増大するためには、カナ文字よりもローマ字のほうが一段と有利である」と本音を言った。
日本国民文盲化計画
さらに、「戦争の結果、多くの外国人が刺激を受けて日本語と日本文化を研究するようになった。もし、こうした外国人の関心を支えてやり、深めてやろうとするならば、新しい表記体系が開発されなければならないだろう」と結論を下している。
これは、日本語のできない、また学ぶ気もない欧米人のために、日本語を廃止し、ローマ字で生活しろと言っているのだ。漢字、ひらがな、カタカナを抹殺し、日本の伝統文化とのきずなを断ち切ろうとする計画だ。日本を歴史のない国にしてしまう「日本国民文盲化」作戦だ。
「日本語」は日本文化の真髄だ。それを廃止せよとは、日本人をバカにし、日本文化をいかに軽視していたかが明白である。
西鋭夫著『富国弱民ニッポン』
第2章 富国日本の現状−14