歴史 2019/03/14

葬られた日本の神々


列島大改革令

マッカーサーによれば、このような日本は「全体主義的軍国主義から国民を解放し、かつ、政府を内部から解放するということで、世界一の実験室となった」。 日本列島大改革が始まった。マッカーサーは命令を下した。

「軍事力を破壊せよ。戦争犯罪人を処罰せよ。議員内閣制を確立せよ。憲法を近代化せよ。自由選挙を行え、女性に選挙権を与えよ。政治犯を釈放せよ。農民を解放せよ。自由な労働運動を確立せよ。自由経済を奨励せよ。警官による弾圧を廃止せよ。自由で責任ある報道を発展させよ。教育を自由にせよ。政治権力を地方行政化せよ。宗教を国家から分離せよ」

アメリカを模倣せよ

マッカーサーは、日本の降伏は単なる軍事的敗北だけでなく、「信仰の崩壊ともいうべきもの」と考えていた。「この崩壊により、日本国民の中に道徳的、精神的、さらに肉体的にも完全な空白状態が生まれた。この空白状態の中に民主主義を注ぎ込んだ」のだ。


「民主主義」でマッカーサーが意味するのは「アメリカの民主主義」(アメリカの社会体制)であり、「それは他のどんな政治哲学よりも優れている」。これを日本が受け入れれば、「そこに日本の救いがあり、将来の日本の平和と幸福の機会がある」と言った。

キリスト教による救い

マッカーサーは、日本人の魂が空白状態にあるのを見て、この空白を埋める宗教をすでに考えていた。

「キリスト教はそれ自身の中に、戦争を嫌悪する精神を持っている」とマッカーサーは信じていたので、キリスト教の伝道により、日本の「敗戦世代をコントロールするだけでなく、次の世代に対しても完全な精神改革」を行おうと試みた。

もし、日本人がキリスト教に改宗すれば、「封建的な隸属から自由へ、神話教育や伝説的宗教儀式の未成熟から、知識と真実の成熟へ、また、戦争を不可避とする盲目的な運命論から、平和を可能とする現実的な考えへ」と日本人は解き放されるだろうと断言した。

それゆえにマッカーサーは、「世界一の大実験室」を「長期間の神話教育によって成長を妨げられてきた民族に、キリスト教の理想を実際に見せることで、新たな文明、真理の高揚をもたらす絶好機」だとみなした(これはまさに400年前、来日したイエズス会神父フランシスコ・ザビエルが言ったセリフと同じである)。


西鋭夫著『富国弱民ニッポン』

第2章 富国日本の現状−3



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