歴史 2018/03/26

有事法制とは何だったのか


有事

海上自衛隊は航空母艦および反撃用ミサイルを持つ原子力潜水艦を保有していない。アメリカで英雄扱いを受けている「トップ・ガン」と呼ばれている百戦錬磨の「撃墜王」たちが日本にもいるのか。日本国民が毎年5000億円も払っている在日米軍の援護なしでは、日本は反撃できない。攻撃もできない。トップ・ガンもいない。

アジアで絶えず危険に曝されている日本を見てみれば、誰でも「憲法第9条」(生き埋めにされた愛国心の墓)がある限り、日本人による日本の国防は不可能であると解る。政治家たちは、新しい憲法草案を考えようと国民を説得しなければならないのだが、怖いモノを避けて通るかのごとく、その場しのぎの有事法に手を出した。

これから、この有事法が1人歩きを始める。そして、日本国民は暴走する有事法と化石化した第9条の間にできる怖い淵に落ち込み、もがくが、逃げ場もなく言い訳もできない激痛に耐えなければならなくなる。その間、アジアで「事変」が起こり、「平和的解決」という言葉に酔っている日本がついに武器を使わねば、潰されるという事態に直面する。

その現状こそが「有事」である。


思いやり予算

強い米軍に守ってもらうと、弱い日本は金を出さねばならない。在日米軍の駐留経費の90%強は日本国民の税金で支払われる。強い用心棒に飯と酒と……といった方がもっとわかりやすい表現だ。

米・国防総省の資料によると、2000年度に日本が差し出した在日米軍負担額は群を抜いて世界一で、50億ドル(当時の5000億円強)。

好戦的な北朝鮮(常設兵士108万人)と50年間も戦争状態にある韓国(常設兵士68万人)は、在韓米軍(3万8000人)に国防の重要任務を背負ってもらっているが、日本の負担額の6分の1、896億円だけ負担。金のある日本から搾り取るという方程式だ。

日本に駐留している米兵総数は4万人。そのうち2万9000人が沖縄に駐屯している。


おもてなし天国

日本人の税金で、米兵1人につき、年間1000万円以上支給する。これほどの優遇は、世界中で日本だけである。この状態を「国辱」と呼ばないのだろうか。このもてなし天国から米軍が引き揚げる可能性は、ゼロ。ちなみに、米・国防費(2001年度)は、38兆4000億円。

米国も国防にこれ以上使えない。平成不況に苦しんでいる日本も金がなくなった。日本の国家予算額(82兆円)の半分は、国民が増税(消費税、いずれ20%)で払わなければならない国債という借金である。

さらに、郵貯や年金基金を使い込んでいる。財政赤字、すでに700兆円だ。外国兵の用心棒をいつまで雇っていられるのか。「金の切れ目が縁の切れ目」になるのは明らかである。



西鋭夫著『日米魂力戦』

第4章「国の意識」の違い –9


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