小切手外交
日本の評価
日本の繁栄と国防にとって最も重要な国が、凶暴な悪人を懲らしめると同時に、経済の血液・石油を確保するため、戦争という後戻りのできない惨事に突っ込んでいった時、日本が恐怖で麻痺状態に落ち込んだのだ。
世界最大の経済国・技術国と高く評価されていた日本は、自家製の白昼夢から目を覚ますことができず、世界中から注目を浴びている時、うろたえ、醜態をさらけ出した。経済大国日本は重要な役割を世界の檜舞台で演じたいと思っているのだが、その機会が到来するやいなや、逃げ口上を口走る。外交という国欲の世界で、「重要な役割」には例外なく「危険」が伴っている。
世界が、日本は現実を把握できない国と見下した。米国はもっと悪い採点をした。「日本は敵前逃亡をする。米国市場で巨額の利益を得ているのに、いざとなると金だけ持って逃げる。日本は金の亡者で恩知らず」
臆病者の烙印
日本には国益(国の威信・国民の生命・財産・将来)を守るだけの十分な武力がある。国連軍に貢献し得る自衛隊がある。多額の国費(税金)を使い、優れた武器を持つ自衛隊は、日本が危機に面した時、動きが取れない。憲法第9条が日本人の勇気に呪いをかけているか。勇気を出して行動しなければならない時、日本は用心に用心を重ねたあげく、結局なにもしなかった。1人取り残され、「臆病者」の烙印を捺された。
日本の防衛費は世界第3、4位の大きさだと言われている。自衛隊は優れた米国製の兵器を買っているので(買わされているので)、装備はどの国と比較しても恥ずかしくない。技術大国日本は、自国で自衛隊を武装するくらいの兵器を作るべきである。日本は海に囲まれているので、正当防衛ができるように航空母艦が2隻、潜水艦が5隻ほど必要であろう。
核武装する世界
米海軍は、航空母艦13隻、365日潜ったままで戦闘態勢にある18隻の超大型原子力潜水艦(トライデン)で装備されている。この潜水艦は、1隻ごとに192発の長距離弾道・水爆ミサイル(1発が広島の原爆より8倍強力)を積んでおり、海中から発射できる。すなわち、米本土を攻撃されたら、海中から報復することができる。
米空軍も核兵器を搭載した爆撃機と最新の戦闘機で世界中の空を制覇している。隣国・中国は、69隻の潜水艦を保有しており、6隻が原潜である。
核爆弾の数は、米国2万発、ロシア2万発、中国450発、フランス485発強、英国200発強、イスラエル100発強、インド60発強、パキスタン30発強、イラン30発強である。米国とロシアは、現在それぞれ4000発を互いの主要都市に照準を合わせており、もし同時に発射されれば「ヒロシマ」の10万倍の破壊力である。地球崩壊の地獄絵である。北朝鮮も核兵器に手を出した。
西鋭夫著『日米魂力戦』
第5章 戦争と平成日本 –10