ニッポンを潰せ!
米帝の独壇場
近年、アメリカも日本政府の対応に我慢しきれなくなり、伝家の宝刀「スーパー301条」という「制裁」を振りかざしてきた。アメリカの言うことを聞かない日本に「お仕置き」をするという。日本製の高級車に関税を100%かけ、アメリカでの定価を2倍にして、売れなくしてやるという発想だ。日本政府はこれを不当とし、最近設立されたWTO(国際貿易機構)に提訴して、「善悪」の決着をつけてもらうとミエを切った。
たとえ日本がこれに勝っていたとしても、一時的な勝利であり、アメリカが日本に対して態度を変えることはない。むしろ、よりいっそう攻撃的になっていただろう。
さらに、アメリカがWTOの裁決を不満としてWTOを脱退する可能性もなきにしもあらずであった。そうなると「自動車部品」から日米貿易全面戦争となり、日本の国防に手を貸しているアメリカが「安全保障条約」の破棄をほのめかすセリフを吐く。
この「部品」争いも、例のごとく最終段階で「和解」した。結局、具体的にどうなるかは誰もわからない。アメリカが満足しない結果が生まれてきたら、また「制裁」となる。
ジャパン・バッシング
私は三十年近くアメリカに住んでいて、近年帰国した。
ワシントン大学のあるシアトルと、スタンフォード大学フーバー研究所のあるサンフランシスコ近辺に住んでいて、日本人旅行者を時折見た。皆お金持ちに見えた。
日本経済が世界の檜舞台で脚光を浴びるようになったと同時に、「ジャパン・バッシング」が始まった。「イギリス・バッシング」「チャイナ・バッシング」「ドイツ・バッシング」といった英単語は無い。固有名詞「ジャパン・バッシング」ができるほど、対日攻撃は厳しく猛烈であった。
日本外交官からの異論
私はあちこちの討論会とかシンポジウムに呼ばれ、私なりに日本の防御に努めてきたし、議論が沸騰してアメリカ人の学者、経済人たちとどなり合いになったこともたびたびあった。
討論の場で日本の立場を説明・弁護することは当然であると思っていたところ、「そんなにハッキリ言われては困ります!」と私に文句を言ったのは、アメリカ人ではなく、討論会に参加していた日本の領事館職員(俗に外交官と言われる人)であった。この外交官は、日本人は「和」を大切にする国民であるから、アメリカと日本の上下関係の「和」を乱すような発言は礼儀を知らない者のすることだ、と思っていたのだろうか。
西鋭夫著『富国弱民ニッポン』
はじめに−2