歴史 2019/06/20

お金持ちの共通点


「スマート」とは何か

"If you are so smart, why aren’t you rich?"と、アメリカ人は冗談交じりにお互いをからかう。「そんなに頭が良いのなら、なぜお金持ちじゃないの?」ということだ(英語の"smart"は日本語訳の「スマート」でなく、「頭が良い、勉強がよくできる」の意味)。

アメリカ社会では「頭が良い」「学校で成績が良い」は、「金持ちになる才能がある」または「多額の給料」と直結していると思われている。

日本人とアメリカ人の違い

「金持ち」は頭が良い、すなわち頭が良いと金持ちになる、という方程式だ。

日本にはない発想だ。日本では頭が良いから金持ちにならねばならないとは思わない。最近の日本では「拝金主義」が社会にはびこり、個人道徳までをも侵し始めていると聞いているが、「儲けた金の額」でその個人の「知性」とか「頭の良さ」を測る発想はないのではなかろうか。


私のアメリカでの長い生活体験から具体的に例を挙げて、この「頭脳イコール金」の話を進めてみよう。

シアトルでの生活

ワシントン大学のあるシアトルという街は北米の澄んだ湖と入り江に囲まれ、緑が多く、「北のベニス」といわれているほど水に囲まれている。毎年アメリカで「アメリカ全土でどの町が一番住みやすいか」とのコンテス卜がある。シアトルは毎年1位か2位だ。ということは、みんな美しいシアトルに住みたいので家は高くなり、平均的にお金持ちが多い(東京の住宅地価はニューヨークやモスクワの55倍というから、シアトルで家が高いと言ってはいけないのか……)。

私は学生時代、ワシントン大学からの奨学金でギリギリの生活をしていた。1年目は大学の男子寮に住み、2年目からは奨学金を少し貯めようと思い、友人の紹介で、あるお金持ちの家に住み込みで、「ハウスボーイ」(雑役)として働くことにした。この家の主人はボート製作会社の社長だった。

6月中旬の夏休みから働き始めたが、9月中旬の新学期(秋学期)が始まった時にはクビになっていた。でも3か月の間、アメリカのお金持ちの生活様式の一片を見せてもらい、貴重な社会勉強になったと思っている。


西鋭夫著『富国弱民ニッポン』

第3章 富国日本の現状−1


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