「国の歴史」を選択科目にする国
歴史を学ばない国民
歴史に関してもう一言。アメリカは歴史教育に力を入れ、小・中・高等学校では「アメリカ史」は必修科目だ。日本のように自国の歴史を選択科目にはしない。すなわち、日本は歴史教育を大切にしない。
「国の歴史」を選択科目にする国がどこにある。生徒の受験勉強の都合だけで、そのような亡国的なことをしている。文部省も、国の教育を司る責任と信念と自信があるのなら、「日本」が大切だと思っているのなら、「日本史」「日本外交史」は小学校一年から大学の教科まで必修にするべきだ。
大罪の相続人
日本は「なぜいつまでも、日本だけが永久的に謝らねばならないのか」と、世界に向かって尋ねればよいのだ。日本の若い世代の人たちにとって、自分たちがほぼ何も知らない(学校で教えない、習っていない)第二次世界大戦について、なぜ日本が謝らなければならないのかがわからないだろう。
祖父の犯した「罪」に、孫が謝っているといった現状なのだ。日本のこのような悲惨な国情は、アメリカの思うツボである。
埋葬された愛国心
「精神」のなくなった国、すなわち自国の歴史、伝統に誇りを持っていない国は全然怖くない。自信のない国など怖くない。「国の魂」というものがないので、守るものがない。必死で国を守らなければならないという気持ちもない。そんな国は脅しに弱い。アメリカから見ると、日本はそんな国なのだ。日本はアメリカにとって「心配」しなくてもよい国となった。
アメリカが、あの恐怖の大日本帝国を「魂」のない、国を愛さない国民に変え、金の亡者に仕立て上げ、アメリカの経済植民地としたことは、「大成功」なのだ。
そのアメリカの大成功の源である対日占領政策について、もう少し検証すべきだろう。そうしなければ、今の日本の対アメリカ弱体外交の原因は解明できない。
西鋭夫著『富国弱民ニッポン』
第1章 富国日本の現状−17