歴史 2018/08/04

ハワイ王朝と白檀貿易


From:岡崎 匡史
研究室より

白い砂浜と碧い海。
ハワイは、日本人の憧れ。

毎年130万人以上もの日本人がハワイを訪れ、天国かと思うほど美しいワイキキは日本人で溢れかえっている。

白檀貿易


ハワイの歴史は複雑だ。

ハワイ諸島を統一したカメハメハ大王は、軍事力を強化するため大砲や銃を大量に購入し、白人を雇い入れて商取引を管理させた。その御礼として、イギリスやアメリカの商人にハワイの資源を積極的に提供。

白人商人が求めたのは白檀(びゃくだん)の木。白檀とは、甘い香りのする木材、香木(こうぼく)だ。

白檀の香りは、中国人を魅了した。当時、西洋諸国はお茶や陶器を中国から輸入していた。白人商人は、中国に売り込む商品を探しており、白檀の木は中国で高く売れた。

ハワイ王朝は「白檀貿易」を独占することで財政を安定させた。だが、欲望に駆られた王や貴族たちは大量に西洋の芸術品を手に入れる。同時に、借金も背負い込む。

ハワイ併合

危機感を抱いていた当時のカラカウア王は、移民や外交問題に取り組み、世界を回る。1885(明治18)年に日本を訪れ、明治天皇と謁見し、当時5歳のカイウラニ王女と皇族との縁談を打診までした。だが、この提案は幻に終わる。

金銭面で優位に立つ白人商人は、貿易を通じてハワイ王朝に影響力を及ぼす。

1887年には、外国人の土地所有を認めさせただけでなく、「憲法」を無理やり変えさせた。王が議会に対して持っていた拒否権を奪ったのだ。

さらに、ハワイ在住の白人男性がハワイに帰化せずに、参政権を得られるようルール変更。ハワイの貴族だけで構成されていた貴族院に白人勢力ができた。巧妙な手口で、合法的かつ民主的に政治を乗っ取っていく。

1898年、アメリカ議会は正式にハワイ併合を決定。カメハメハ大王による統一から88年後、ハワイ王国は滅びアメリカの一部となった。


ー岡崎 匡史

PS. 以下の文献を参考にしました。
矢口祐人『ハワイの歴史と文化』(中公新書、2002年)
矢口祐人、森茂岳雄、中山京子編『真珠湾を語る―歴史・記憶・教育』(東京大学出版会、2011年)

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