経済 2018/03/07

ロシアの目的は大陸での勢力確立




ロシアという国を抜きにして、朝鮮半島情勢を考えることはできないと思います。


中国共産党と北朝鮮の間では利害関係が重なるため、中国がアメリカの要求に応じて北朝鮮に核を放棄させることはありません。ただし、再度核実験を実施した場合は石油輸出を禁止することは非公式に伝えているはずです。


もし、中国からの石油輸出が止まれば、北朝鮮はロシアに頼らざるを得なくなる。ロシアは極東に影響力を持つことができます。ロシアは北朝鮮に石油を供給し続けてきました。


また、日露関係について言えば、私は北方領土返還の可能性はないと思います。2016(平成28)年12月に山口県における日露首脳会談の前には日本のメディアでも北方領土問題が前進するのではないか、という期待を込めた報道が見られました。官邸サイドがメディアにそうした情報をリークしていたのかもしれませんが、私としては過熱する報道に違和感を覚えました。


旧ソ連と異なり、ロシアには日本に侵攻する実力も意思もありません。唯一の関心はユーラシア大陸において自国の勢力圏を拡大することです。ロシア、ベラルーシ、ウクライナ、カザフスタンの四カ国で「ユーラシア関税同盟」を作ることがプーチンの構想の基本でした。


しかし、2014(平成26)年にウクライナが内戦状態になり、欧米諸国がロシアに対して厳しい姿勢を取る中、ロシアは地政学的に見て、クリミア半島は確保しましたが、ウクライナの西部は諦めざるを得なくなりました。


ロシアは軍事行動をとる際、必ず経済制裁を覚悟しています。ロシア人は軍事と経済を天秤にかけることはしません。だからこそ、経済制裁があっても、強く持ちこたえられるのです。実際、欧米諸国による経済制裁に反比例して、プーチンの支持率は上昇しています。


最終的にロシアは、西ウクライナは諦めても、ロシア人が多く居住する東ウクライナの支配を目指すと思います。



2017年9月1日発行
藤井厳喜・宮崎正弘著『韓国は日米に見捨てられ、北朝鮮と中国はジリ貧
第4章 世界の大変貌 中国、EU、ロシア、そして極東ーP134






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