経済 2018/05/08

2015年、日本は窮地に追い込まれる




中国海軍が戦略目標のマイルストーンとして設定した「第一列島線」および「第二列島線」の概念は、先述の通り、1982年に中国人民解放軍海軍司令官・劉華清が初めて示したものであるが、1997年に中国海軍の司令に就任した石雲生が打ち出した『海軍発展戦略』では、この概念が一層強調されており、しかも、その基本ラインは以下の通り、「まったくぶれることなく」今日に至っている。


一、再建期(1982~2000年)

  中国沿岸海域の完全な防衛体制を整備[→すでに達成]

二、躍進期 前期(2000~2015年)

  第一列島線内部の制海権確保[海上・航空自衛隊を圧迫→現在実行中]

三、躍進期 後期(2015~2020年)

  第二列島線内部の制海権確保、空母による制空権の拡大

四、完成期(2020~2040年)

  米海軍による太平洋、インド洋の独占的支配を阻止

五、2040年以降

  米海軍と対等な海軍建設

               (米海軍情報局『China’s Navy 2007』)


最近、東シナ海から尖閣諸島周辺にかけての軍事的緊張が急激に高まっており、尖閣諸島沖で海上自衛隊の艦艇が中国海軍艦艇から「レーザー照射」を受け、また中国空軍戦闘機約40機が接近するという事件まで発生しているが、この中国の『海軍発展戦略』に従えば、それが単に「予定の行動」に過ぎないことが判る。


中国は、この2年以内に沖縄周辺における日本の防衛ラインを突破(または有名無実化)し、台湾海峡からマラッカ海峡の通行権を確保するつもりなのだ。


そしてこの計画によると、ミンダナオ島南部から「南太平洋」の入口付近を通過して日本に向かう第二の石油ルート「ロンボク・マカッサル海峡ルート」もまた、「第二列島線」の内側に存在するため、2015年から発動される「躍進期 後期」における作戦において、空母『遼寧』や、現在急ピッチで建造中の潜水艦・ミサイル駆逐艦等によるプレゼンスの拡大で圧迫され、「完全に遮断」されることになる。


つまり、前述の中国によるフィリピンの反政府組織に対する支援はm、この「2015年」という時期を見据えた、用意周到なものである可能性さえあるのである。


英シンクタンク・国際戦略研究所(IISS)は、「戦略概観2011」の中で、「中国は(中略)領土や海洋権益をめぐって恫喝的な外交や行動を展開し、国際社会の常識に朝鮮するのが日常茶飯事になった」と指摘、記者会見した同研究所の関係者は「(隣国との)軍事衝突に発展する可能性もある」と警鐘を鳴らしているが、実際、中国人民解放軍の機関紙『解放軍報』によると、2013年2月4日、甘粛省で蘭州軍区を視察した習近平国家主席は、そこで重要講話を行い、「軍事闘争への備えの拡充と深化に力を入れ、部隊の即応、即戦、必勝の態勢を確保しなければならない」と強調したという。


すでに彼らは戦略物資や食糧の国家備蓄を急増させており、ロシアからのエネルギー資源輸入をも増加させているが、これを戦時備蓄ではないかと見る向きもある。



平成25年7月25日発行
丸谷元人著『日本の南洋戦略』
第一章 いま、南太平洋で何が起こっているのか  pp.35 -37




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